独立起業

最初の大失敗!

デザイナーとして独立して最初の大失敗!の話。
今思い返しても胸が痛く、穴があったら入りたくなるような…

「初心忘れるべからず」という思いで、ここに書いておこうと思います。

 

独立して2ヶ月ほどが経った頃、夫からの紹介で伺ったある旅館でのことです。
「旅館のロゴをリニューアルしたい」と話される女将さんは、少し迷っておられる様子でした。

今の私なら打ち合わせの場で「リニューアルするかどうか、もう少し考えてみませんか」と伝えると思います。

ですが、当時の私は「旅館のロゴ制作という大きな仕事をやりたい」「自分のポートフォリオに載せられる実績を早く作りたい」と焦っていました。

考えあぐねている女将さんに「こういったタッチはいかがでしょうか」と様々なデザインサンプルを見せ、話を進めようとしてしまったのです。

 

しばらくすると女将さんは、私の目の前で1本の電話をかけられました。お相手は、旅館の常連宿泊客である東京にお住いのデザイナーさん。

ロゴがどんなに大きな役割を担っているのか、迷っている状況で簡単に変えるものではない、という話を数分された後、一呼吸付いた女将さんは私におっしゃいました。

「悪いけど、帰ってもらえる?」

 

帰りの車を運転しながら、私は自分のしたことが情けなくて恥ずかしくて、涙が止まりませんでした。

女将さんが目の前の私にはひと言も相談せず、遠方のデザイナーさんに電話をかけられたのは、私を「信頼できない」と判断されたから。
目の前のクライアントの想いを無視して、自分本位なデザインを押し付けようとしてしまった…

この失敗によって私は、デザイナーの仕事で一番大切なのは「クライアントの想いを汲み取ること」だと痛感したのでした。

屋号を「デザイン想」にしたのもこの経験から… なのです。